最新情報NEWS

季刊誌 駒木野 No.175

季刊誌 2016.03.11

175号季刊誌-1

日本の精神科医療から考える当院の将来ビジョン

院 長 菊本 弘次

 「駒木野病院はどんな病院なのですか」という問いに対して、私は「駒木野病院の特徴は精神科専門医療に特化し重層的な地域支援・連携」にあり、「目指すところは地域に必要とされ、愛され続ける精神科病院」とお答えしています。今後、病院の特徴に関しては種々の広がりや変化を遂げるかもしれませんが、目標に関しては、着任以来私自身に課した使命であり変更する気持ちはありません。

「必要とされ」「愛され」という表現は受け身の姿勢と感じる人もあるかもしれません。しかし、医療サービスは当然のことながら利用者、地域あって初めて意味を成します。問題は時代や地域のニーズをどのように把握し運営に反映させるかにあります。市場調査も欠かせないものの一つですが、日常の診療場面において、職員一人一人の満足度の高いサービスを提供したいという思いこそが、利用者ニーズを確実に受け止める重大なヒントであり運営の指標となります。それらの積み重ねがアメニティーの良い環境づくり、チーム医療の充実、精神科救急医療の提供や児童精神科医療への取り組みという付加価値を駒木野病院にもたらしてきたのです。

一方で、現在、我が国の全ての医療機関に突きつけられているのは「高齢化社会の著しい進行の中で生き残れますか」という問いです。巷には、日常的に「実証的で」「説得力のある」「非常に厳しい」将来予測があふれています。変化を厭わない駒木野病院においても、サービス対象者の構成が急激に変化すれば、圧倒的に転用困難なインフラを抱える病院という形態は不利に決まっています。生き残るための模範解答はあっても正解はないのかも知れません。

目標の中に「愛され続ける精神科病院」という文言があります。残念ながら、未だに精神科病院に対するネガティブイメージは厳然と存在します。一病院のみで簡単に解消できるものではありませんが、精神科病院として真摯に本人に寄り添って回復を応援してきたか、利用者の生き方の選択肢を増やすことができたか、そして利用者自身がそれを実感できているかを自問し続ける責務があると考えています。

主な地域活動実績(2015.4-6)

4月
【地域連携】
2日(木)多摩在宅支援センター円スタッフと退院支援の打ち合わせ
15日(水)4包括支援センターとの昨年度振り返りと今年度事業計画の話し合い
25日(土)多摩草むらの会家族会主催施設見学会(山口)
【本人・家族支援】
3日(金)いっぽの会茶話会レディースディ
17日(金)いっぽの会茶話会
18日(土)友遊会(年間計画決め)
【その他】
ソーシャルワーカーの退院支援アパート見学会を実施

5月
【地域連携】
14日(木)八王子のわかくさ家族の会総会&事務所移転・法人設立パーティ出席(山口)
【本人・家族支援】
1日(金)いっぽの会茶話会(レディスデイ)
9日(土)ファミリープログラム1
15日(金)いっぽの会茶話会
16日(土)友遊会(長池公園散策と写真撮影会)
23日(土)サポートグループ
【その他】
7日(土) SSKと看護部主催で行う「駒木野SST普及のためのセミナー」(連続講座・全10回)
15日(金)職員研修「SSTを日常業務に生かすコツ」
29日(金)駒木野カンファレンス「MRIについて知っておこう!」

6月
【地域連携】
13日(土)第5回ちたま精神保健医療フォーラム「“ほっと”できる生活をこの街で~地域で共に生きる~」基調講演「見える障害、見えない障害」シンポジウム“変わるのはどっちだ”~当事者と支援者~当院から4人が参加、17日(水)キャラバン隊(片倉)PSW古明地さんが当院の認知症関連の対応を報告、八王子市要保護児童対策地域協議会5グループに参加
25日(木)病院見学会
【家族・本人支援】
5日(金)・19日(金)いっぽの会茶話会
13日(土)ファミリープログラム
20日(土)友遊会(カラオケ)
【その他】
18日(木)退院支援委員会(事例検討会)
19日(金)駒木野カンファレンス「知っておきたい油脂の知識」~中鎖脂肪酸の最新情報~

 

<特集>退院支援

駒木野病院では、ご本人、ご家族の意向や状況を理解しながら、できるだけ短期での入院治療と外来での支援を充実させていくために、各病棟・各部署が多職種チームで地域関係機関の方々と連携し様々な取り組みを行っています。

175号季刊誌-4私たちが退院支援委員会のメンバーです!
 退院支援委員会は、院長、退院支援病棟医師(委員長)、各病棟からの退院支援委員(看護師)、医師、看護科長(退院支援の認定看護師)、精神保健福祉士、OT、SSKスタッフ(精神保健福祉士である室長が副委員長、他にOT・看護師が参加)、事務で構成され、毎月1回委員会を開催しています。(現在は、救急病棟と児童病棟、認知症疾患治療病棟は委員としての参加はなく学習会等には参加することになっている)

現在は、各病棟にいる1年以上の長期入院者の退院支援を主たる目的としていますが、1年以内の入院の場合でも必要に応じて積極的にかかわることにしています。また、5年以上の長期入院者の退院にも力をいれています。これより退院支援委員会の活動を概観します。
【表1】個々の取り組みとは別に、当院の退院支援活動の要となっているのが退院支援委員会です。

①入院者の退院可能性等についての調査(毎年1回)とこれにもとづく退院支援計画の検討
②各病棟における退院者の報告、退院支援の取り組み検討と経過報告
③個別ケースの情報共有、情報提供、支援の検討
④地域資源等の情報共有、情報提供
⑤スキルアップのための勉強会等(一部は本人・家族も参加可能)
⑥退院支援を進めるために必要な取り組みを委員会として検討・企画、病院に提案
⑦個別退院支援チームの活用

より積極的な退院支援を行えるように、退院支援委員会内に退院支援チームを設置してい ます。メンバーは退院支援病棟科長でもある認定看護師・精神保健福祉士、SSKの作業療法士・看護師・精神保健福祉士で構成しています。今年度から作業療法科からも参加となりました。月2回、定例でミーティングを開催し、リストに基づいて個別退院支援の状況や課題について確認、検討を行っています。ソーシャルワーカー室の精神保健福祉士は、個別支援の状況を各精神保健福祉士から集めて、ミーティングで報告しています。ミーティングの情報を基に、各病棟責任者や担当看護師、担当の精神保健福祉士らと支援についての共有やサポートを行っています。また、退院準備のために個別支援にも積極的にかかわっています。

⑧退院支援アパートの管理(担当はソーシャルワーカー室)
入院中の人が1人暮らしの体験や試験外泊ができる地域のワンルームマンション。
⑨退院準備プログラム「てくてく」の運営【表2・3】
東京都地域移行体制整備支援事業の地域移行コーディネーターもスタッフとして参加。
⑩SSKは地域移行推進室を兼ねる(地域移行実施加算の算定に必要)
【表1】
175号季刊誌-5

【表2】
175号季刊誌-6

【表3】
175号季刊誌-7

175号季刊誌-2

~未来につなぐメッセージ~

こまぎのフェスティバル2015開催決定!

昨年のイベントでは、沢山の皆様にご来場いただき楽しい一日を過ごせたこと、職員一同心より感謝申し上げます。さて、今年のフェスティバルでは、メインテーマを~未来につなぐメッセージ~としました。 当日は、隣接する高尾駒木野庭園とも共催でイベントを開催いたします。また当院の会場内では基調講演会やこころの相談会、様々な体験企画など、子どもから大人まで楽しみながら学べる様々な企画やイベントをご準備しております。当院のWEBサイト(7月下旬を予定)に、詳細なイベント情報を掲載してまいりますので、是非ともご覧ください。

日 時:平成27年9月27日(日)10:00~15:00 雨天決行
場 所:駒木野病院 高尾駒木野庭園
内 容:当院のWEBサイトをご覧ください。(7月下旬より掲載)
問合せ:こまぎのフェスティバル実行委員会 代表042-663-2222
駒木野病院野球部

三多摩病院野球連盟春季大会 2部リーグ入賞!

開催日:2015.4.29 (水)昭和の日 場所:八王子市 滝ガ原運動場野球場

野球部部長 星野 俊介

 4月29日晴天の下、恒例の野球大会が開催されました。絶好の野球日和で、全員怪我なく、無事に終えることができ、成績も2部リーグではありますが、3位という結果を残すことがきでました。秋の大会は1部リーグへ昇格して戦うことになりそうですが、出るからには優勝目指して頑張っていきたいと思います。

このところ慢性的に続いている野球部の悩みは部員数の減少です。男性職員はそこそこ入職してはくるのですが野球以外のスポーツ経験者が多く、なかなか部員が増えないのが悩みどころです。また部員の高齢化と部員数の減少で、この数年は野球部の存続が危ぶまれていましたが、今年は若い部員の入部があり、まだまだ継続していけそうでホッとしています。

175号季刊誌-3