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季刊誌 駒木野 No.166

季刊誌 2012.09.28

新病棟A棟 竣工のご挨拶

平成24年8月1日から、駒木野病院は新しいステージに入りました。その目標は、精神科救急医療の充実、高齢期精神障害への対応、児童精神科領域への参入、そして精神疾患回復期およびストレス・ケアとうつ病治療の強化です。A棟(新棟)のオープンにより、2Fの救急病棟では、保護室や観察室の充実が図られ、より充実した精神病急性期治療が行われ、また、3Fでは、人口の高齢化により増加し続ける老年期精神障害に対応する入院(短期)治療の準備が整いました。今後、認知症治療病棟(C2)と連携が望まれます。4Fの病棟は、懸案であった児童・思春期精神障害の専門病棟として運営されます。児童精神科の専門病棟の運営は、民間医療法人の取り組みとしては日本でおそらく初めてのチャレンジングな試みですが、こころの悩みを抱える子どもたちを援助し、その発達を支援することは今後の重要課題と思われます。一年前からオープンしている「こまぎのこどもセンター すこやか」における外来との綿密な連絡によるしっかりした治療が期待されています。5Fは、比較的軽症の精神障害、特にストレス関連障害やうつ病の治療を念頭にいれた病棟です。将来は、この病棟で、産業メンタルヘルス関連のケースを取り扱えるシステムの構築を目指したいと思います。

1Fには、高性能3TのMRIが導入されました。精神科単科病院においても、器質性精神疾患の診断や内科合併症の早期検出は今後より大切なものとなると考えます。10年後には、400~450万人(日本全人口の約30人に1人)にも達することが予想される認知症への対応は、今後の精神医療には欠かせないものです。このためには、迅速な脳萎縮・脳損傷のレベルの確認が必須です。半年前から開設している、MCIや早期認知症をターゲットとした駒木野病院メモリー外来との連携が強く望まれます。なお、1Fには、精神科領域の様々な活動に利用していただきたいという思いを含めて、爽やかさと落ち着きをモチーフにした「グリーンホール」があります。約100人の方が収容できるモダンな集会の場で、隣接する高尾駒木野庭園(八王子市運営)の景色も楽しめます。効率的な利用を期待します。

新病棟このような活動の先駆けとして、猛暑の中、7月27日に新棟内覧会が行われました。医療関係者はもちろん、業者、公的機関、地域の皆様大勢の方々にお越しいただき、予想を上回る727人の方に参加していただきました。棟内は大変混み合っており、ゆっくりご覧いただけるか心配ではありましたが、無事終了して肩の荷も下りました。この場を借り参加していただいた皆様としっかりと運営してくれた病院職員(自画自賛ですが)に心から感謝したいと思います。
この秋からは、旧棟の解体、外溝工事、C棟外来とE棟一階の改修が控えています。新棟の運営、電子カルテの運用、患者さんの院内移動など忙しく、やや疲れのでる季節ではありますが、新しい海に帆を立てて出航してゆく船員のような気持ちで、病院職員の健闘と健康を心から望みたいと思います。

 

 

特集 新病棟A棟のご紹介 ~最善の治療と回復に向き合いながら、地域の皆様から親しまれる病院を目指して~

院長 菊本 弘次

 平成24年8月1日、駒木野病院新病棟が動き始めました。当日は200名を超える患者さまの病棟移動、スタッフの大幅移動に加え、電子カルテの運用開始が重なる極めて多忙な一日となりました。また、開棟に先立ち7月28日に開催した内覧会には、ご多忙の中、医療関係者、福祉関係者や行政職員さらに地域の皆さまなど併せて700名をこえる皆さまに足をお運びいただきました。本当にありがとうございました。

この間、職員の皆さんには献身的な努力をお願いしてきたこと、皆さんがそれに十二分に応えてきてくれたことは重々承知しております。ただし、現在なお、病院全体として新しい器やツールは慣らし期間の域を脱しておらず、駒木野病院がユニークで魅力的で付加価値の高い精神科病院として機能するための第一歩を踏み出したにすぎません。職員一人ひとりの知恵と経験、そして精神科医療に懸ける思いを力にして、少々きつい上り坂ですが歩んでいきましょう。

B1F : 栄養科

主任 : 横山 美穂

電化厨房横山美穂オール電化の新厨房となり1ヵ月が過ぎました。食材を扱う厨房で1番心配なのは食中毒ですが、今回導入して頂いた電化厨房では、熱や水蒸気の発生が少ない為、室温や湿度の上昇が少なく、夏でもドライな環境が維持しやすくなり、食中毒発生の抑制につながっています。全てが大幅に変わることで不安を感じていたスタッフ達も、少しずつ余裕が出てきたように感じます。まだまだ試行錯誤は続いていますが、食事が楽しみにつながるよう工夫を重ねていきたいと思います。

1F : 検査部門

科長 : 神 鉄之助

神鉄之助GE製MRI(3.0T)新棟に一番乗りしたのが検査部門です。大型機器、器材の引越しは大変な作業でしたが、7月下旬の新棟内覧会には各種検査機器や3.0テスラのMRI装置(画像・音響設備付き)が稼動でき、多くの皆様にご覧頂きました。導入の機器は特に頭部の神経系、血管系は物凄くクリアな画像が提供でき、さらに電子カルテの導入に伴い各病棟端末の高精細モニターで診断することができます。MRIを含め各画像装置はこれから本格的な活用をしていく予定です。

A5 : 回復期・ストレスケア病棟[40床]

科長 : 谷口 与士人

谷口与士人特別室A5病棟は、回復期・ストレスケアの患者様を対象とした40床の病棟です。しかし現在、9割の患者様が8月1日に引っ越してこられた方々で、ようやくお互い新棟に慣れてきたところです。今後、患者様は徐々に入れ替わっていくと思いますが、5階の窓から見える素晴らしい眺望だけで癒すのではなく、質の高い治療、看護を提供できるよう日々努力していきたいと考えています。

A4 : 児童精神科病棟[33床]

師長 : 長谷川 信子

長谷川信子学習室中学生以下のお子様の精神的な問題について、児童精神科医、看護師、心理士、作業療法士、精神保健福祉士がチームを組み、専門的治療・療養にあたります。病棟の特徴としては、勉強するための学習室、クールダウンしたり、一人になりたい時に使用する瞑想室、体を動かしたい時やイベントを行う場所としてのプレイルーム等があります。また、多彩なプログラムを通して、回復と成長を見守れる環境を提供します。

A3 : 高齢期病棟[43床]

科長 : 岸 珠江

岸珠江病室前フロアA3病棟には、精神的な苦痛に加えご高齢で様々なリスクを抱えた方々が入院されていますが、その特性がスタッフの一体感を生み、病棟の雰囲気はとても明るく和やかです。スタッフは大粒の汗を流しながらも、笑顔で日々患者ケアに前向きに取り組んでいます。まだまだ前途多難ではありますが、真面目でユニークな病棟担当医の下、可能性を秘めた看護スタッフと共に「私たちのできる高齢期のケア」を考えながら魅力的な病棟を目指し努力していきたいと思います。

A2:精神科救急病棟[43床]

科長 : 藪下 祐一郎

藪下祐一郎準保護室A2病棟が開棟して、1ヶ月が経過しました。まだ右往左往する反面、保護室・準保護室併せて12床を有する特徴的な治療ゾーンを始めとした先進的な設備に触れ、その運用には多くの可能性を感じています。試行錯誤の日々は続いていますが、今後も治療環境を整備しながら、医療の本質である“困っている人の力になれる”病棟で在り続けるために、たゆまない努力を続けていきたいと思っています。どうぞよろしくお願い致します。

 

 

新病棟A棟 内覧会のご報告

実行委員長 井出 光吉

7月27日(金)盛夏の空の下、新棟(A棟)の内覧会が行われ、医療関係者はもちろん、公的機関の関係者、様々な施設の関係者、地域の皆様合わせて700名を越える方々にお越しいただきました。こんなにたくさんの人が入りきれるのだろうかと心配もしましたが、大きな混乱もなく、無事滞りなく終えることができ、事前の準備から当日まで係わった職員も全員胸を撫で下ろしました。新棟はユニットケアの概念を取り入れた設計となっていて、さらに多床室でも個室を意識した造りとなっています。そして、精神科救急病棟、高齢期病棟、児童精神科病棟、回復期・ストレスケア病棟が入り、MRIも導入しました。ここに当院のこれからの方向性と意気込みが込められています。民間の精神科病院で、児童精神科病棟を手がけている病院は、ほとんどありません。多くの医療関係者の皆様にも病棟をご覧いただきましたが、これから益々連携を深めていきたいと考えておりますので、宜しくお願いいたします。

 

三多摩病院野球連盟 春季大会 駒木野病院 野球部 2部リーグ準優勝!

星野 俊介

野球部の集合写真現在、駒木野野球部は在籍19名(内マネージャー2名)で活動しています。月に2回のペースで試合や練習を行っています。本年度から、八王子近郊の5つの精神科病院と協同でリーグ戦を行っています。毎年、年2回の三多摩野球連盟開催による大会に参加していますが、本年度の春季大会では、2部リーグながら準優勝になることができました。秋季大会では、1部リーグに昇格するため難しい戦いが予想されますが、優勝を目指して頑張りたいと思います。

 

編集後記

今回の院内報は新病棟A棟の紹介がメインとなっています。 C棟(本館)が完成した1966年も実はオリンピックイヤー(アトランタ)でした。今年ロンドンオリンピックもメダルラッシュで大いに盛り上がりましたが、きっと選手は次の大会に向けて休養し新たなスタートを切ったことでしょう。 病院にとって激動の2012年もあと3ヵ月程で終わるのですが、実際には今がスタートと言っても過言ではなく、これからの日々、スタッフひとり一人の努力と工夫が求められているのだと思います。このプロジェクトが実を結ぶことを願って…。