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季刊誌 駒木野 No.180

季刊誌 2017.08.31

新たな年度を迎えて

院 長 菊本 弘次

当院の病室からの眺望

いよいよ平成29年度が始まりました。今年度、精神保健福祉法の改正が予定されています。平成30年度には、診療報酬と介護報酬の同時改定があり、改定地域医療構想などを推進する新たな保健医療計画、障害者施策の方向性を定める障害福祉計画も開始となります。したがって今年度には都道府県ごとに両計画の明確な指針が示されることとなります。詳細は順次明らかとなりますが、病床の機能分化を迫られること、措置入院など入院手続きが煩雑となることは確実です。要するに、精神科病院の運営は益々タフとなると覚悟しなくてはなりません。
駒木野病院は、今年度、八王子市内に“グループホーム駒里”をオープンします。「駒里」には、駒木野病院が高尾の山から里に下りるという意を込めました。今後も駒木野病院は、積極的に在宅支援・地域支援に挑戦していきます。ただし、当院の「質の高い精神科医療を提供する」という運営理念が変わることはありません。
昨年度も、当院では全体研修のみならず、部門を問わず意欲的な研修が実施されました。個々の職員の意識の高さが当院を支えていることを改めて実感するとともに、頼もしく思われました。行動制限最小化委員会主催研修では、2回にわたり「カンファタブルケア」を取り上げました。初回は北海道にある旭山病院の南氏をお招きしての実演を交えての講義、2回目は同院で見学実習をした職員による報告でした。同院では「カンファタブルケア」を認知症病棟で実践し半年間で行動制限を激減させたとのことでしたが、同ケアにおいて行動制限最小化は目的ではなく、「ケア」実現のツールという位置づけでした。私には、その位置づけそのものが精神科病院における行動制限最小化委員会の意義と考えます。
今年度も当院は多くの新入職員を迎えました。新しい仲間とともに、利用者にとって心地よい「質の高い精神医療提供」のため駒木野病院は全力で取り組みます。

サービスステーション駒木野 活動実績(2017.1-3)

1月
【地域連携】
17日(火)包括医師相談(田Dr)
23日(月)八王子高齢者救急医療体制広域連絡会(二瓶・山口)
25日(水)病院見学会
27日(金)八王子市社協精神保健福祉ボランティア講座(医学講話・早川Dr)
【本人・家族支援】
6日(金)いっぽの会茶話会
14日(土)ファミリープログラム➃
20日(金)いっぽの会茶話会
21日(土)友遊会 新年会
27日(金)元気の広場(リカバリーカレッジのみなさん)
28日(土)サポートグループ
【その他】
21日(土)多摩で家族心理教育を行っている病院の連絡会

2月
【地域連携】
4日(土)武蔵村山市市民講座(田Dr)
15日(水)都内児童相談所等職員病院見学
20日(月)武蔵村山市職員研修(田Dr)
23日(木)病院見学会(AL治療紹介含む)
25日(土)多摩草むらの会講演会(田Dr)
【その他】
八王子市で始めている、障害者地域生活拠点事業事業説明会に参加。

3月
【地域連携】
17日(金)キャラバン隊(包括寺田担当)
23日(木)病院見学会
28日(火)包括医師相談(田Dr)
11・12日多摩心理教育ネットワークで家族心理教育研修会を実施。
【本人・家族支援】
3日(金)いっぽの会茶話会
16日(木)講演会:リカバリーカレッジ立川の紹介
17日(金)いっぽの会茶話会
18日(土)家族向け講演会「元気で暮らしていくために」ファミリープログラムOB・OG会
25日(土)サポートグループ、28日(火)友遊会主催学習会「ハローワークの利用について」

二年目を迎えた法人事務局の思い

事務長 神マチ

平成二八年度に新たに「法人事務局」を立ち上げました。当法人は、医療以外の活動拠点を持たず、スタッフが地域に出向いて介護や福祉の関係機関の方々とも協力し、時には協働して地域活動を展開し、精神障がい者の地域生活をサポートする役割を果たしています。特に近一〇年、「病院から地域へ」の医療制度改革の具体的な施策や制度によって、身近な地域で生活支援のサービスを受けることが出来る環境が大きく変化してきました。その事に対応する事業者や団体も増え、事業所間の活動の質の差も否めない状況下にあります。
また、社会保障の基本構想が互助共助に向かう折、当法人が地域の医療保健福祉ネットワークの中で心の病に携わる医療機関として培ってきたスキルを病院以外でも発揮し、地域の変化に対応した活動を展開する責務を感じます。
今後、法人事務局では、新たなプロジェクトへの挑戦や組織機能の拡充を図りながら、「Human 1st」への取り組みを推進して参ります。

これからの地域展開

副院長 渡邉任

これまで青渓会・駒木野病院は医療に特化した地域展開をして来ました。昨今の地域医療、こと高齢者医療は病院収容型から在宅医療へシフトされています。精神科医療も入院病床の削減が提唱され久しくこの流れに即してきましたがその流れは今後更に急速になるでしょう。これまでは病院と地域、医療と福祉と左右に分けた構図があってお互いの協力のもと地域で精神障害者を支えてきたかと思います。これからの地域医療は、病院医療は救急病棟や、高い入院機能が残り、地域ではこれまでの訪問看護に留まらず訪問診療を含めた医療とグループホーム等の福祉事業を合わせ持った多機能な支援事業が中心になっていくと思います。
この地域展開を青渓会・駒木野病院が持ち前のチーム力を発揮して実践し、地域の中で患者さん一人ひとりが安心した生活を送れることを目指せていければと思います。まずその第一歩がこの度のグループホームの設立です。

病院の屋台骨として着実な歩みと飛躍のための準備の一年に

副院長 田亮介

医局は役職者の体制を含めて近年にない変化がこの一年で起きました。新たな専門医制度が導入されようとしている中で、引き続き研修病院としての役割をしっかりと果すとともに政府の働き方改革ではないが、診療部内でも協力・工夫しながら我々自身の健康管理についても改めて検討する必要があるものと考えています。
クラスター部門は四年目を迎え、一定の評価は頂いているものの、変わりゆく地域のニーズに対してより迅速に対応できるように、見直しをしていく時期でもあります。近々予定されている精神保健福祉法の改正は、手厚い医療の継続性や人権擁護の観点からも重要であると考えますが、ケース会議や関係書類などの業務が確実に増加することが予想されます。利用者としっかりと対面し、専門職に特化した業務に当たれるように、いわゆる“医療クラーク”等を活用した体制の整備も喫緊の課題といえます。
診療部は医業収益の屋台骨になっている部門であります。地域の精神医療の中核的な病院として着実な歩みを進めていくとともに、将来に向けての体力を蓄え、準備をしていくべき、大事な一年だと認識しています。

基本的で当たり前なことを大切に

看護部長 宮崎弘光

新入職者を迎え新年度がスタートいたしました。新入職者の皆さん、今胸に抱いている夢や目標をこれからの生活の中で忘れず大切にし、その実現に向けて日々努力を重ねていってください。
さて、当院の掲げている理念実現のために何が必要か、最も意識して取り組むべきことは「基本的で当たり前なことを大切にする」ことです。こんな言葉があります「平凡なことを毎日、平凡な気持ちで実行することが非凡である」と。平凡な毎日のルーティンワークの経験こそ、後の人生に大きなプラスとなって返ってきます。平凡で当たり前のことを、まずはしっかりとできるようになることが重要であり、その積み重ねが将来、大きな仕事を成し遂げる土台になるのです。仕事のできる人は、必ず常に基本を忘れず、当たり前のことをきちんと実行しています。専門職としての基本を大切にし、目の前の仕事を確実に実践することが安全・安心な医療に繋がることだと思います。基本的で当たり前なことがしっかりできるよう、足元を見て一つ一つの事を大切に取り組んでいきましょう。今年度もよろしくお願いいたします。

新年度を迎えて

事務部長 井出光吉

平成二九年度は、三〇名の新入職員を迎えてのスタートとなりました。この何年かでは一番多い新入職員の数です。やはりこの時期は、職場全体にある種独特の緊張感が漂っているように感じます。
私が事務へ異動になったのは平成一九年ですので、今年でちょうど一〇年になります。振り返りますと、この一〇年で精神科医療は大きく変わってきたと思います。薬物療法や精神療法などといった具体的な内容もさることながら、治療に対する考え方自体が変わってきているように思います。その代表例としては、入院医療から在宅医療への変化だと感じています。その変化の影響といえるかもしれませんが、組織が事務へと期待すること、あるいは事務がやらなければならないことも変わってきているように感じます。
これからは、おの大きな変化を捉え、組織が活性化するための事務部の役割を実行していくことが大切であると考えています。

平成29年度 入職式
駒木野病院 グリーンホール
平成29年4月1日

入職式の様子

小雨交じりで花冷えがする4月1日、平成29年度の入職式が行われました。当院では、院長より入職辞令を一人ひとりに手渡します。今年度は、30名の入職があり、我々の仲間に加わっていただきました。入職辞令を手渡されるときの皆の引き締まった顔は、とても心地いいものです。約半数は社会人一年目の新人で、初々しくその緊張した様子は清々しくもあります。
皆これから社会人としてキャリアを積んで、それぞれの目標に向かって羽ばたいていく姿を想像しながら、活躍を期待しています。文責:井出光吉

接遇研修
駒木野病院 グリーンホール
平成29年2月3日(一般職対象)2月26日(管理職対象)

事務部長 井出光吉

座学講座とテーマを設定しグループディスカッションを行っている様子

年度が変わりましたので昨年度のこととなりますが、一般職員向けに外部の講師を招き接遇研修を行いました。接遇は、日常の業務の中で重要でありながら、つい意識から遠ざかってしまいがちなことであるように思います。なかなか意識してできることではなく、身に付けてしまうしかないようにも思います。より多くの職員が参加できるように2回に分けて、実践的な内容でロールプレイも織り交ぜていただきました。ロールプレイでは、相手に不愉快な思いをさせないために、どのような言葉をどのように伝えればいいのか、四苦八苦している職員の姿も見られました。多くの職員が学んだ接遇研修が、実際の場面で活かすことができることを期待しています。