最新情報NEWS

季刊誌 駒木野 No.184

季刊誌 2018.08.31

青溪会の将来ビジョンを検討する2つのワーキンググループのご紹介

地域活動検討ワーキンググループ

副院長 渡邉 任

 昨今の退院支援を促進し脱入院治療への流れは皆様もご周知の通りで、当院でも数々の長期入院患者を地域へ送り出しています。その一方で入院施設のこれからの役割は、急性期治療、児童や高齢者の専門治療、ARP等のより専門性の高い機能が中心になって行くのではないでしょうか。その流れの中、地域というフィールドでどのような医療やサービスが求められ、我々が何を提供していくかをより追求していく時が来たと思います。

2018年8月に開所したこまぎの相談支援センター

2018年8月に開所したこまぎの相談支援センター

 既存のデイケアや外来OT、昨年からの訪問診
療はもとより、4年前に病院外へ出たこまぎの訪問看護ステーション天馬、昨年からグループホーム駒里、更に今年の8月からこまぎの相談支援センターと続々と地域展開を当法人は始めています。このような地域展開の核となる拠点を地域に作ることが不可欠だと考え、次の施策と見据えているのが訪問診療です。ググループで検討しています。但し、これは単なる既存の訪問診療ではなく、多職種連携、且つ同法人機関はもとより地域の医療、福祉また行政等の機関と円滑な連携をとり、当院がこれまで地域で育んできた質の高い心のこもった精神医療や福祉を利用者に提供出来るこれまでにない機能を持った訪問診療所についてワーキンググループで検討しています。

将来検討 ワーキンググループ

副院長 田 亮介

 「地域における精神科病院の役割は何か」、「精神科病院でしかできないことは何か」、「病院から地域へ」という国の方針に基づき、精神科医療が地域・外来中心に移行してきているなかで、このあたりが改めて問われている。精神科病院の強みとして、検査体制を含めた充実した医療設備、多職種によるチーム医療の提供、地域のセイフティネットとしての役割などが挙げられる。医療資源を外来・地域に移行していく中で、当院としてこれからの適正な病床数や必要な病院機能は何なのかをしっかりと見出すことが求められてきている。

駒木野病院の全景を写した航空写真

駒木野病院の全景を写した航空写真

 変化の激しいこの時代に、未来の予測は極めて困難である。一方で我々は未来を創造していくことは可能である。
つまり、精神科医療スタッフとして長年にわたり地域でやってきた自分たちがどのような医療をやっていきたいのか、やるべきかを一つ一つ実現していくことで将来の精神科医療を形作っていくことができると思われる。加えて、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築」が方針として打ち出されている中で、地域の医療・福祉・介護現場のスタッフや地域住民の皆様に対して「開かれた顔のみえる精神科病院」を念頭に引き続き情報発信し、連携パートナーとして受け入れていただけるように努力していきたいと考えている。

特集:青溪会の地域活動推進について

厚生省 精神障害にも対応した地域包括ケアシステム

  • 精神障害者が、地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるよう、医療、障害福祉・介護、住まい、社会参加(就労)、地域の助け合い、教育が包括的に確保された地域包括ケアシステムの構築を目指す必要がある。
  • このような精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築にあたっては、計画的に地域の基盤を整備するとともに、市町村や障害福祉・介護事業者が、精神障害の程度によらず地域生活に関する相談に対応できるように、圏域ごとの保健・医療・福祉関係者による協議の場を通じて、精神科医療機関、その他の医療機関、地域季刊、地域援助事業者、市町村などとの重層的な連携による支援体制を構築していくことが必要。

こまぎの訪問看護ステーション天馬

所長 栗田 勲

 当ステーションは「駒木野病院」がこれまで変革しながら30年近くに及ぶ病院からの訪問看護活動に限界を感じ、2014年4月に独立した指定事業所としてスタートしました。
 病院からの訪問時代と大きく異なる点は訪問する対象の方が、駒木野病院を利用されている精神の障がいを持たれた方(医療)という限定ではなく、身体を含めた他の医療機関を利用されている方(医療保険)、そして要介護認定を受けた高齢者(介護保険)の方へと訪問看護サービスの範囲が広がったことです。
 当ステーションが目指していることの一つとして、医療法人が経営する訪問看護ステーションとして他のステーションとの差別化があります。他ではまねのできない質の向上、利用者にとって何が一番適切と思える支援であるかを常に考えながらサービスの提供をしております。「住み慣れた地域で自分らしい暮らし・安心して暮らせるよう…」と言葉では簡単ですが、実際の地域での生活は厳しいものがあります。厚労省が発信している「地域包括ケアシステム」、住まい・医療・介護・予防・生活支援の一体化の実現には各関連機関がこれまでのそれぞれの役割としてきた壁をなくし、連携する相手同士でのあゆみよりが必須と思われます。その各関連機関同士のシナプス役も我々の任務とも考えております。
 当ステーションもオープンから5年目をむかえ、サービスの提供地域の限界を感じております。少しでも多くの方にサービスの提供ができるよう、今年10月に「こまぎの訪問看護ステーション天馬 北野事業所」をオープン予定です。天馬同様、宜しくお願いします。

第七次医療計画の見直しイメージ(精神疾患の医療体制)

グループホーム生駒

所長 古明地 さおり

 昨年7月1日にオープンしたグループホーム駒里は、利用者、そして法人内外の関係者の皆様に支えられ、開設1年を
無事迎えることが出来ました。この場を借りてまずは感謝申し上げます。
 さて、平成29年2月の「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」報告書において、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築を推進する柱の一つとして「精神障害者の住まいの確保支援に関わる事業」があげられました。この背景には、住む場所や支援が無いために入院が長期にわたっている方々が多く存在していることがあります。ある調査では、1年半以上入院している方の3割が「居住・支援が無いため」退院困難とされていることが示されています。
「住まい」の確保は長期入院者の地域移行をすすめるにあたり喫緊の課題となっており、グループホームにもその役割が期待されています。当グループホームは、利用期限が2~3年と定められている「通過型」であり、民間のアパートを利用して運営しています。単身生活に近い環境で、何ができてどのような支援が必要なのか、利用者と職員が一緒に考え、安心して地域生活に移行することができるように支援していくことを目標としています。つまり、「住まい」であると同時に、本格的な一人暮らしの前の準備の場所でもあります。

2018年10月開所予定のグループホーム駒里

2018年10月開所予定のグループホーム駒里

 八王子には世界一と言われるほどの数の精神科入院病床があります。そして、「地域生活」を希望しながらも実現できていない入院者も当然多くいらっしゃいます。そういった多くの方が安心して地域生活を送るために、「住まい」として「準備場所」として駒里ができることは何か、利用者・関係機関の皆様と共に考え、活動をしていきたいと考えています。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

こまぎの相談支援センター

所長 山口 多希代

 この8月1日から、医療法人財団 青溪会の相談支援事業所「こまぎの相談支援センター」(以下、センターという)が、高尾駅北口近くにオープンしました。
ここでは、障害福祉サービスの情報提供等などの基本相談を受けるほか、「計画相談支援」「地域移行支援事業」「地域定着支援事業」の3つの事業を運営します。みなさまご存知の通り、障害者福祉の分野においても平成18年に障害
者自立支援法(現在の障害者総合支援法)が成立し、3障害統合、契約の時代となりました。
地域でその人らしく暮らしていくことをかなえていくための方法として、障害状態に応じて、または希望や目標に応じて様々な医療・福祉・介護等のサービスを上手く利用していくことが考えられます。ご本人だけで必要なサービスを考え、事業者を選び、契約し利用していくということは困難な場合が少なくありません。そこで、本人と契約した事業所の障害支援専門員が本人の状況等を把握し、希望等を聞きながら「サービス等利用計画」をたて、障害福祉サービスを利用していくという方法がでてきます。これが「計画相談支援」です。

2018年10月開所予定のグループホーム駒里

こまぎの相談支援センターの職員と理事とで

「地域移行支援事業」「地域定着支援事業」では、社会的も大きな課題となっている精神障害者の長期入院者の退院支援・地域生活支援に関係します。
駒木野病院においても、退院支援委員会を中心に平成14年からこの課題に取り組んできています。これまでは院内の様々な取り組みが中心でしたが、センターが開設されることにより、法人としてより積極的な取り組みを考えていきます。事業所は、地域で必要な人にサービスを提供していくものですから通院・入院先等を問わず利用できます。今はまだ初心者ですが、利用者に評価してもらえるような仕事をしていくことを目指しながら、地域あるいは福祉の視点から、医療の果たす役割、地域づくり・地域課題等も考えていきたいと思っています。

『このまちで、ともに』~笑顔と笑顔のお付き合い~

こまぎのフェスティバル20181開催決定!


 昨年のイベントでは、多くの皆様にご来場いただき楽しい1日を過ごせたこと、職員一同心より感謝申し上げます。
さて、今年のフェスティバルでは、メインテーマを『このまちで、ともに ~笑顔と笑顔のお付き合い~』と致しました。 当日は、隣接する高尾駒木野庭園とも共催でイベントを開催させて頂きます。また当院の会場内では特別講演会やスポーツイベント、様々な参加型の企画など、子どもから大人まで楽しみながら参加できるイベントを沢山ご準備しております。当院のWEBサイトに、詳細なイベント情報を掲載してまいりますので、是非ともご覧ください。

日時
平成30年9月23日(日)秋分の日 10:00~15:00 雨天決行
場所
駒木野病院 高尾駒木野庭園
内容
当院のWEBサイトをご覧ください。
問合せ
こまぎのフェスティバル実行委員会 代表042-663-2222

DPAT(Disaster Psychiatric Assistance Team) 登録しました

 東京都は、災害時こころのケア体制整備事業実施要綱に基づき、平成29年度より東京都災害派遣精神医療チーム(東京DPAT)の整備に取り掛かりました。当院としても、医師3名、看護師3名、精神保健福祉士2名、事務2名の計10名を登録し、DPATへ参画することとしました。事前の説明会や5月に行われた第1回目の研修会出席者からは、担当者の努力だけでできることではない、病院を上げて取り組まないといけないとの感想を聞くことができました。東京都の説明では、事前研修に参加することがDPATとして参加するための条件であるとのことから、まずは10名全員が研修に参加することが必要となります。また、準備する医薬品、医療器材も多岐にわたり、決して安くはない費用負担も必要であることもわかりました。
 今年に入り、6月に大阪北部で発生した大地震、7月に発生した西日本の豪雨など大きな自然災害が発生しています。自然災害は対岸の火事ではありません。駒木野病院もいつ何時DPATの招集要請がかかってもいいように準備を進めていきたいと思います。

事務部長 井出 光吉


医療法人財団青溪会求人専用ホームページ開設のお知しらせ
病院・訪看・グループホーム、青溪会すべての「はたらく」情報サイトを5月にリニューアルしました。
<< QRコード『URL: http://recruit.seikeikai-group.or.jp 』

青溪会理念

[心のこもった、質の高い精神医療]

【皆様への五つの約束】

  1. 私たちは、地域の保健福祉ネットワークの中で、心の病を治療する役割を果たします。
  2. 私たちは、専門医療機関として医療サービス内容のたゆみない向上に努めます。
  3. 私たちは、安全、快適、さわやかな接遇を心がけ、安らぎと回復の場を提供します。
  4. 私たちは、ご利用者の思いを尊重し、共に力を合わせて障がいを克服します。
  5. 私たちは、患者の皆様が充実した社会生活を取り戻されることを支援します。