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季刊誌 駒木野 No.192

季刊誌 2021.05.31

新年度を迎えて

理事長 菊本 弘次

小仏川の梅蕾

病院の近くで見つけたヤブデマリ

 令和3年4月1日、満開の時期は少しばかり過ぎていましたが、高尾の山々は淡い新緑とキラキラと舞う桜の花びらが織りなす春景色で、新たな青溪会の仲間を祝福し今年度の青溪会入職式を彩ってくれました。新型コロナウイルスの脅威により、昨年度に引き続きほとんどの歓迎行事は中止となりましが、青溪会は全力で新人の皆様を応援して参ります。青溪会はチームワークを身上としています。様々な心配や不安もあるでしょうが、それは学びの大きな動機ともなります。大いに期待しています。
 青溪会は、平成26年から「こまぎの訪問看護ステーション天馬」、次いで「グループホーム駒里」、「こまぎの訪問看護ステーション天馬北野事業所」、「こまぎの相談支援センター」、そして令和元年には「こころの訪問診療所いこま」を開設してまいりました。各事業所は揺籃期を乗り越え地域に根付き成長を続けています。今日、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築が待たれています。駒木野病院も含めて各事業所は互いに有機的に連携することは当然ですが、来るべき地域包括ケアシステムの有用な構成要素として機能することが求められていきます。令和3年度、青溪会は八王子市における地域包括ケアシステムの全体像を模索していくとともに、システム構築
に向けた課題解決のため法人一体となり戦略的に取り組んでいければと考えます。
 令和2年度、駒木野病院は病床稼働率、入院患者数、新規登録患者数など経営上も重要な部分で苦戦を強いられました。その大きな要因は新型コロナ禍にありますが、駒木野病院が抱える課題が明白になったものとして受け止めております。地域・関係機関からの駒木野病院への期待は、児童精神科医療やゲーム依存の領域をはじめ、地域の基幹精神科病院として、益々大きなものとなっています。駒木野病院では、今年度早々に、新患受け入れ枠の拡大を図り、慢性的に空床が目立った開放社会復帰病棟の10床分を高齢期病棟に移行させました。時宜に見合った組織づくりや人材育成は青溪会の得意分野であり、駒木野病院は地域の期待に応えて参ります。
 現時点において新型コロナウイルスは変異株の出現もあり蔓延の勢いは未だ衰えていませんが、青溪会は精神障がい者に対する有用な社会資源として、良質な医療福祉サービスの提供が途切れることのないよう全力で取り組みます。1日も早い新型コロナウイルス蔓延の収束を願うばかりです。

特集!コロナ禍における令和2年度の研修会~研修会の開催方法の工夫とこれからの課題~

日付 主催委員会 内容 開催方法 参加率 備考
9月10日 医療安全 エラーから学ぶ 参考文献を参照した課題 84.5% 当院の事例をもとに課題に取り組み、他部署のエラーも自分のこととして考える機会になった
1月28日 医療安全 チームワーク 参考文献を参照した課題 84.3% 自身のチームで起きたインシデントを振り返り、具体的予防策を考える機会になった
6月4日~25日 感染対策 インフルエンザ・ノロウイルス・新型コロナウイルスについて 課題 85% コメディカル・医局の提出が少なかった
6月9日・19日 感染対策 個人防護具について 着脱トレーニング・課題 85% 看護部だけでなくコメディカル等、使用頻度が少ない部署も良い体験機会となった
7月2日・28日 感染対策 院内での各種感染症のアウトブレイクを防ぐ(個人防護具について) 着脱トレーニング 93.7% 標準予防策の必要性の再確認と正しい着用方法の理解及び環境整備と5Sが手順通り実践できた
10月23日~11月30日 感染対策
8月28日 行動制限最小化 2019年度の行動制限の状況行動制限最小化の活動報告(A3病棟・C2病棟) 講義、シンポジウム(ZOOMを使用)不参加者は課題 84% サテライト会場を設けるなど、新たな形式での研修会開催となった
3月17日~4月23日 行動制限最小化 2020年度の行動制限の状況、長期行動制限者の解除を目指して Web講義(録画)、病棟内グループワーク 新たな形式でのグループワークにて長期行動制限者の行動制限解除フローの作成を行った

『看護部研修会の開催方法と課題について』

看護師村上悠

 新型コロナ対策として昨年11月から看護部の集合研修は全て中止となり、1月の時点で6つの研修の代替案を検討する必要が出てきました。看護部では入職3年目までの卒後研修(FFⅠ~FFⅢ)を各学年で年3回実施し、その他に全看護職員を対象とした必修・選択研修を12回/年、事例検討会を9回/年実施しています。<集合での研修が中止となったが、どうしよう…?すぐの再開も見込めない。でも学びは継続しなくてはいけない…。>これが、私達教育委員会の直面した課題でした。ウィズコロナ時代、抜本的な教育提供方式の変更が必要となりました。<すべての看護職員が講義の動画を視聴し学習できるようにする>この目的のため、インスタどころかTwitterも分からない私の格闘が始まりました。講義の動画を録画したUSBなどの媒体を各部署に配布するのはどうか。配布と回収が煩雑となること、紛失やコピーなど講師の知的財産を守り管理する面で難しいことが分かりました。ZoomやTeamsを使用したリモート研修をするのはどうか。オンタイム研修は時間や個人情報の観点から難しいことが分かりましたが、Zoomの録画機能を使用した視聴が最適であると考え教育委員会でアカウントを取得しました。これなら動画のアップロードと削除管理ができ、オンタイムへの汎用性もあるためです。ですがそのZoomのURLを、院内のPCや自分のスマホなどでクリックしてもらう必要があります。私のようなTwitterなどをやっていない人でもたどり着ける方法が必要になりました。そこで教育委員会でTwitterを始めZoomのURLを載せ、Twitterをやっていない人もたどり着けるようにYahooのリアルタイム検索を使用してもらうことにしました。

 手順の確認を何度も行い倫理的に問題がないか検討し、今年度2月よりZoomの録画視聴で研修を実施しています。学習の統合や共有をどう効果的に行うか、一方的とならない研修づくりなど課題は多い状況ですが、今回開催方法を検討することで学びの可能性を実感できました。現在、必修・選択研修は全て録画視聴としていますが、参加者が増加しています。特に子育てや介護中など時間的制約があり参加が難しかった職員からは、視聴しやすいとの意見をいただいています。改めて職員の学びたい意欲を後押しできる研修、受ける側のニーズに即した研修の提供が必要であると実感できました。今後も自ら学ぶ力をサポートする研修づくりを行っていきたいと思います。今回、教育委員をはじめ多方面の方々に相談し助言を頂いたことで実現することができました。中でも則村良CNSには、不得手な教育委員会をサポートし支えていただきました。この場を借りて皆様に厚く御礼を申し上げます。
 

『看護部新入職者研修について』

看護部教育委員会看護師佐保今日子

 例年、新入職者の皆さんとの初めての交流の場にもなるはずのこの研修ですが、去年は思うように交流できず、もどかしさを強く感じたことを思い出します。去年はコロナ渦初の研修で、感染対策をどこまで厳しく行うのか一つ一つの判断に迷い、対話の機会を極端に減らさざるを得なかったからです。それに比べて今年は、コロナとの付き合い方が去年よりは少し見えてきて、適度に距離をとったり、マスクやフェースシールドを活用したりすることで、対話する機会を持つことができました。新入職者のみなさんの人柄に少し触れることができたと感じて、とても嬉しく思います。私自身のこととしては看護部1~3年目の方が参加する研修に直接関わらせていただくのは4月の研修が最後となり、無事に終えられそうで、教育委員のみなさんにも部署を問わず力を貸してくださったみなさんにも、感謝しています。コロナ渦での入職はきっと大変なことも多かったと思いますが、これから1年目のみなさんが病棟でのびのびと活躍してくれることを願っています。

駒木野病院活動報告

新人研修を終えて

看護師 真下奈那子

 新人研修会の様子

新人研修会の様子

 学生の時の精神科病院での実習は患者さんとホールで話をし、実際の精神症状を観察することがメインで、看護師につくことがなかったため、仕事について分からなかったことが多かった。そのため、入職するまで自分に精神科看護が出来るのか不安だった。研修を四日間終えた今でも不安はあるが、駒木野病院の様々な職種、チーム、委員会での立場の方々が心一つに「こころに寄り添い、生きる力を支援」するため協働していることが分かり、その一員となれたことをとても嬉しく思う。同時に自身の勉強不足も痛感したので、早く現場で力になれるように先輩からたくさんのことを吸収し、主体性を持って学びたいと考えた。一、二年後、患者様から信頼してもらえて、頼もしいと思ってもらえて、生きる力を支援できるような看護師になっているよう一生懸命頑張りたい。

第4回関東甲信越関連問題学会に参加して

アルコール総合医療センター 菊池達樹

 3月、関東甲信越アルコール関連問題学会へ参加、コロナ渦のためオンラインでの開催となりました。170名を超えるオンライン参加、僕は「依存症の援助・支援、依存症のルールはどこまで必要か」というテーマを頂き発表、意見交換会の為のシンポジストとして参加しました。発表内容は①入院治療にルールは必要②外来治療にルールは無意味③支援者、家族にルールは必要、と結論付けてお話しました。①から順にその理由を書かせて頂きます。
 ①入院治療にルールは必要。アルコール依存症治療の為、入院時のルールは社会復帰を視野に入れた長期的な回復に必要です。再飲酒から入院→解毒→退院の流れを繰り返すだけでは「飲める体に戻すだけ」で専門病院へ入院する意味はない。そこでルールを設けると、入院患者様は形通りにアルコール依存症専門治療を受けていただけるようになります。入院→解毒→リハビリプログラム→退院準備→退院といった流れの、回復に向けた専門的で、治療的な入院を行えます。
 ②外来治療にルールは無意味。ルールとは規則・規制・慣例・しきたり。よって、病院職員の管理の範囲外である外来患者さまにはルールの順守を期待することは不可能。把握も確認もできないルールは無意味です。
 ③支援者・家族のルールは必要。イネイブリング(小言・説教・叱責・世話焼き・尻ぬぐい)しないことで素面は良いなと思えて、飲むと良いなを減らすこともできます。治療の場において多数存在するルール、この文章がルールの意味や必要性を改めて考えるきっかけとなれば、とても幸せです。『厳しすぎる規則というものは、人間に害しか及ぼさない。』マルクス・トゥッリウス・キケロ

編集後記

 私的にはある意味1年のうちで最も厳しいスギ花粉の時期がようやく過ぎたものの、マスクを外して大手を振って外出はできない昨今。身の回りの人や友人知人もいつもマスク姿で、そういえばしばらく素顔を見ていないという人も多いのでは。仕事でのリモート活用の取り組みは始まっていますが、プライベートでの利用にも挑戦してはいかがでしょう。お互い素顔で会話しても大丈夫な完全な感染対策です。『緊急』『まん防』と自粛ムードが続きますが、その中でも出来る新しい楽しみを探して、日々の活力に変えていきましょう。

IT管理室山内 淳

青溪会理念

[こころに寄り添い、生きる力を支援]

【皆様への五つの約束】

  1. 私たちは、地域社会の一員として、一人一人の心の健康を全力で支援します。
  2. 私たちは、専門医療・福祉機関として医療サービス内容のたゆみない向上に努めます。
  3. 私たちは、安全、快適、さわやかな接遇を心がけ、安らぎと回復の場を提供します。
  4. 私たちは、「その人らしい生活」を目指し、本来の力を引き出し、育むことに尽力します。
  5. 私たちは、全てのご利用者が満足し納得できるよう歩み続けます。