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季刊誌 駒木野 No.198

季刊誌 2023.10.15

法人理事を拝命して

駒木野病院 理事・副院長・看護部長 鬼塚 愛彦

秋空に咲くコスモス

 

2020年4月より看護部長、2023年4月には、駒木野病院副院長、また本年5月から法人理事を拝命しました。浅学非才ではございますが、大役をおおせつかり、誠に恐縮ですがありがたい思いでいっぱいです。

さて、日本国内で新型コロナウイルス感染症第一例目が検知されたのは2020年1月15日、すでに3年以上、悩まされています。5月8日月曜日より、2類相当から5類相当に感染分類が引き下げられ、8月14日時点では世の中のマスク着用者も大きく減少しています。しかし現実的には、新型コロナ感染は減っている様子はなく、増加傾向にあります。病院内では、患者様、職員共に感染者が途切れることなく続いている状況で、まだまだ気が抜けません。

このような中、病院組織内では、様々なバランスが変化しました。もちろんITの活用や機能など進歩したことも数多いと思いますが、医療・福祉に携わる機関として、また精神科領域においての大きな打撃は、やはりコミュニケーションの機会の減少です。現場での情報量が減ることにより、対処・対応の遅れ等を生じさせ、安全で安心な環境の提供、そして良質なサービスの提供について、ご利用者皆様には迷惑をお掛けしたこともあったかと思います。今後も、これらことに気を付けながら、一つ一つ丁寧で確実な対応をさせていただきたいと存じます。

次に、大きな事として、2023年2月、八王子市の精神科病院で、看護師らによる患者への虐待行為が動画と共にテレビで放映されました。私自身、大変な驚きと同時に医療従事者として怒りを感じました。何のために看護職を目指したのか、どんな看護職になりたかったのかなど、人それぞれ、価値観は違うにせよ、虐待行為が許されないことは容易に理解できることであり残念でなりません。

世の中に、精神科病院で虐待事件が再び発生した、精神科病院とは、そのような所だ、ということを、また想起させ、全ての精神科病院がそうであるかのように認識させてしまいました。その後、当院への入院相談時、「そちらの病院では虐待はありませんか」と問われることも多くあります。「当院では虐待はございません。」とお応えしておりますが、様々な価値観の中、親切・丁寧にされたと感じる方、期待通りではなかったと感じる方、様々いると思います。そのような中で、信頼回復に向けては、やはり今まで以上に、当法人の理念である「こころに寄り添い、生きる力を支援」に向け、誠実に、ご利用者に対し良質な医療を提供し続け、信頼を積み上げていくしかないのだと考えます。

当法人が地域から託されている任務・義務を果たす過程において、日々、様々な出来事が起き、息つく暇もありません。しかし、そこから、多くの学びを得、改善し、向上のために、組織全体が一丸となりチャレンジを続けていくことが重要なことであると考えています。そして、自分自身が管理者の一員として、率先して行動し、マネジメントするよう努力をしてまいります。

勤続40周年を迎えて 玉城 久江

先日執り行った永年勤続表彰式で表彰され、現在もアルコール治療専門部署 アルメックの責任者を務められている、玉城 久江科長より寄稿いただきました。

この度、駒木野病院永年勤続40年の表彰をいただきました。誠に感慨深く心より感謝申し上げます。ありがとうございます。

私は1983年に入職しました。当時の入院環境はベッドがなく畳部屋で窓には鉄格子が設置されていました。入退院も年間400名弱程度でした。日々線路向こうまで患者さんが畑作業している様子を見に行く、患者さんと散歩に行く、ソフトボールをする、夏にはプールに入る、高校野球観戦、そして冬には臼で餅つき大会と一緒に楽しむ、遊ぶことが多く病院という感覚を忘れてしまうような日々でした。

また一方で1984年に看護助手らの暴行により患者様が死亡する宇都宮病院事件が発生し患者様の人権が充分に守られることのない時代でもありました。その後1987年に精神衛生法から精神保健法へ、そして精神保健福祉法へと改正され患者様の人権に配慮した適正医療や社会復帰の推進がされていきました。

駒木野病院は経営の透明性や多職種によるチーム医療により「質の高い精神医療」の実践がなされ、法改正、時代と共に変遷されていきました。

1983年精神科デイケア施設承認を受け、1986年に体育館含む生活医療棟が完成し当時は画期的と思いました。

1988年にアルコール専門病棟を完成、1996年認知症治療専門病棟を開設し専門性高い医療実践がされてきました。さらに精神科病院においてまさに先駆けの全個室病棟を完成させ、2010年児童精神科外来開始、アルコール治療プログラムの再編、2012年児童精神科外来開設、2012年に現在のA棟を完成させ今に至っています。

駒木野病院は常に患者様にとってより良い医療が提供に向けてチャレンジし続け組織も大きく成長してきました。そのような環境の中で新米看護師として何もできない自分がここまで勤続できましたのも院長先生をはじめとする上司の皆様、先輩方、そして同僚や後輩の暖かいお力添えがあってこそのことと思っております。今更ながら自分ではなく周囲の皆様の支援によりここまで勤続できたものと実感します。

この度の表彰式で頂きました言葉一つ一つを肝に銘じ、残り少ない期間ですが病院、精神医療発展のために、ご期待に応えていきたいと思っております。

「すこやか」ってどんなところ?

①子どもが本来いるべき地域で安心・安全に生活するために 必要な支援を行うこと

②部署の垣根を越えて、院内のすべての子どもを対象に活動すること

これを基本理念として2017年に児童精神科外来の一角においてサポートルームという名前で設立されたのが「すこやか」のはじまりです。

子どもと家族、関係者など誰でも気軽に立ち寄れる場所で、具体的な活動としては児童及び保護者への個別面談や、学校や地域関係機関と連携等も行っています。

病棟活動・家族会へ参加して子どもと保護者と接触する機会を設けることで、相談しやすい環境づくりを行っています。

青年期デイケアやゲーム障害治療プログラム(RPG)など院内他部署と 協働し、子どもへの理解が広まるよう努めています。

そのほか保護者向け心理教育やペアレント・トレーニング、親子相互 交流療法(PCIT) CAREプログラムの実施や、スタッフ向けの 勉強会の企画など幅広く活動しています。

診療部 副部長 岩垂 喜貴

 

2012年に児童精神科病棟がオープンしてから11年、すこやかの活動が始まってから6年が経とうとしています。

すこやかに立ち寄る子どもたちも成人を迎え社会へ出ていこうとする姿が多く見られるようになりました。子どもから大人に向かっていく橋渡しの支援が増え、子どもへの関わり方もずっと同じではなく一人ひとりの成長やステージに合わせて変遷させることも必要だと感じています。

入院外来を問わず継続的に関われること、看護師・心理士・精神保健福祉士と多職種で多角的に子どもを捉えられること、部署の垣根を越えて活動できることというすこやかの良さを存分に活かし、すこやかの関わりの経験が、いつか子どもたちの強みになるように、親御さんや関係機関、何より子ども本人と一緒に悩み考えるよう心掛けています。

すこやかの活動内容や方針は柔軟であるべきで、求められることを支援や活動として創り出していきたいと考えています。いまのすこやかの多岐に渡る活動内容もその象徴のように思います。

すこやかのお部屋には心願成就のダルマがあります。いつかすこやかが必要なくなるくらい、子どもたち一人ひとりが安心・安全に生活できる幸せな世の中になりますように、と願掛けしてあるそうです。日々の臨床を第一としながら、社会への発信にも寄与していきたいと考えています。

「すこやか」係長 岡野 良子

2023年度 看護部 新入職者宿泊研修

看護部 教育委員会 清水 頌平


看護部教育委員会主導の新入職者宿泊研修が、高尾の森わくわくビレッジにて実施され、2023年度の看護部新入職者11名中、8名が参加となりました。
ました。コロナ禍であったこともあり、宿泊や野外活動を伴う研修は実に4年ぶりで、無事実施出来たことを嬉しく思います。

コミュニケーションゲームの様子

看護部は今年も異なる出身校・出身地と様々な背景をもった新入職員を迎えました。入職当初は初めてのことばかりで緊張していた新入職員でしたが、宿泊研修ではコミュニケーションゲームや野外炊爨、グループワークを通して楽しみながらチームで協働することができていました。

野外炊爨での食事

Off-JTという形で時間と場所を共有することで、同期同士の繋がりも構築されていきました。そして、研修では自らの看護実践について振り返り、自分自身を見つめなおし、成長するための方法を考える良い機会になったと思います。

うかふわプロジェクトイベント 夏野菜詰め合わせセット

 


季節の野菜や果物のセットを販売する恒例企画。今回は夢畑様提供の夏野菜セットでした。こちらの企画ですが提供元のご協力のおかげで品質が高く、いつも希望者多数で抽選販売になるほどの人気なので、職員の方は今後も是非チェックしてみてください。
 

うかふわプロジェクトイベント ジャグリング大道芸


熱血大道芸人 ドラマチック・ガマンさんをお招きし、ジャグリングショーの観覧イベントを実施しました。ディアボロと呼ばれる中国こまを使ったパフォーマンスでは、観客から特に大きな拍手があり、盛況でした。

編集後記

「シャカリキ」は漢字で書くと「釈迦力」。お釈迦様が人々の幸せのために力の限りを尽くした様子に例え、ある目的にために夢中で何かに取り組むことを「シャカリキ」と呼ぶようになったと言われる。似た言葉で「ガムシャラ(我武者羅)」があるが、「無鉄砲、無計画」の意味を含み、ビジョンや計画をもってことに臨む「シャカリキ」とは明らかに異なる。新人が入職して半年が過ぎ、彼らは目標に向かって「シャカリキ」になっている。その姿は苦しさも伴うがこの時期にしかない快活な姿でもある。自分が「シャカリキ」になったのはいつの事だったか。振り返ると高い熱量で打ち込めなくなっている寂寥感は否めない。私も何か目的に向かって夢中になれるものが欲しくなった。

看護部 副部長 岸 珠江