心の病についてMENTAL DISEASE

強迫性障害

強迫性障害-心の病強迫性障害は、わが国の一般人口でのデータはありませんが、欧米での有病率は2%前後で、性差はありません。発症時期は児童期の後半から25歳頃が多く、男性は15~20歳頃、女性は20~25歳頃という傾向があります。なんらかの重大な出来事やストレスが発症のきっかけとなる場合もあります。

症状

自分では不必要でやめたいと思っているのですが、やめると不安になるので、ある思考(強迫思考)や行動(強迫行為)をやめることができません。

強迫思考とは、無意味とわかっているある思考が繰り返し浮かんでくることです。
例えば、ガスの元栓を閉めたか、玄関の鍵をかけたか、自分が犯罪をおかしたのではないかというような考えが繰り返しておこります。そのようなことはないとわかっていても、不安で繰り返し考えてしまったり、特定の数字や人名、言葉、考えをばかばかしいと感じながらも、思い浮かべることが止められない場合もあります。

強迫行為は、無意味で不愉快なことだと感じているのに、その行為をしないとよくないことが起こりそうな気がして、強迫思考を打ち消すために行います。そしてすぐにまたしないと気がすまなくなり、同じ行為を繰り返してしまいます。
例えば、鍵のかけ忘れが気になって何度も確認したり、文章のある箇所の意味が気になり何度も同じ箇所を読んだり、何かに触れた後に手の汚れが気になり長時間手を洗ったりしてしまいます。ある行為を順序通りにやらないと気がすまず、決めた順序の通りにしないと次の行動に移れずに最初からやり直して、行為の完了に毎日何時間も費やしてしまうこともあります。

強迫症状は、ある程度は健康な人でも認められることがありますが、強迫性障害になると、その症状にひどく悩み、生活に支障がでてきてしまいます。

原因

薬理学的な研究や、脳画像を用いて、セロトニン神経系やドパミン神経系の機能異常の関与などが指摘されています。

診断

ご本人やご家族から、これまでの経過や生活状況などをお聞きして、医師が診断します。強迫性障害の患者さんの半数以上に、気分障害、不安障害、摂食障害、アルコール依存症などの物質関連障害、チック障害、トウレット障害、人格障害などの他の精神障害が併存しているという報告もあります。
また、てんかん、脳髄膜炎、脳腫瘍や頭部外傷などの脳器質性疾患の初期や経過中に症状を認めることもあります。必要に応じて血液検査や頭部CT検査などを行います。

治療

強迫性障害の主要な治療は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor:SSRI)を中心とした薬物療法、認知行動療法です。症状や治療、対処法について、ご本人やご家族に対して心理教育を行います。
薬物療法では、クロミプラミンやSSRIなどの抗うつ薬の有効性が実証されています。効果や副作用を確認しながら徐々に薬物の量を増やしていきます。効果が得られない場合、他の薬物を組み合わせて内服して頂く場合もあります。

再発を防ぐために

強迫性障害は神経症性障害の中では、特に重症化、慢性化しやすい疾患で、従来治療抵抗性と言われてきました。SSRI などによる薬物療法で比較的短期間に改善がみられることもありますが、中断により再発しやすく、長期の治療が必要になることがあります。

家族の対応

本人から「大丈夫か」と繰り返し尋ねられると、その要求に応えることが本人のためになると考えがちですが、要求がエスカレートして、対応できなくなると、本人の不安や怒りが更に大きくなってしまうこともあります。本人だけでなく、ご家族の負担も大きいことが少なくありません。本人が医師の治療を受けて、受診を継続するように、本人を励ましてあげましょう。病気の理解に努め、症状で本人を責めないことや、ご家族が過度に罪悪感や責任感を持つのではなく、一貫した対応で精神的な余裕を持って、気長に見守ってあげることが大切です。

精神科

駒木野病院 精神科では、精神疾患全搬を対象に診療にあたっております。精神的につらい症状をお持ちの方やご家族の病状でお悩みの方はまず当院にご連絡ください。

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