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季刊誌 駒木野 No.203

季刊誌 2025.04.30

青溪会の変遷とこれから

駒木野病院 理事長 菊本 弘次

満開の桜と富士

 

青溪会の令和7年度は、4月1日新たに23名の職員を迎えてスタートしました。新入職の皆さんが、日々の経験と学びを大切にし、焦ることなく各々のキャリアを積み上げていくことを期待しています。

マスコミ報道もされていますが、我が国の医療機関における経営環境は極めて深刻な状況にあり、残念ながら青溪会もその例外ではありません。青溪会は地域における精神科医療・福祉サービスの基幹病院・法人であると自負し、広範な疾患・障害に対し、先進的な検査・治療体制でご利用者・地域ニーズに応えるべく歩んできました。経営環境の悪化の要因として、駒木野病院においては、ハード面の制約により豊富なソフト資源を活かしきれないこと、提供サービスの更新が地域ニーズの変化に対応しきれていないことなど と考えます。

解決に向け、令和7年度駒木野病院は既存の病棟を改修し、病院全体で強みを発揮できる病棟体制に再構成してまいります。改修には半年以上を要すると想定しており、その間、御利用者および病院職員には少なからぬご不便をおかけすることとなりますが、可能な限りの準備を整えたうえで事業を遂行していきます。計画達成にむけ、そして法人全体の「魅力」と「活気」を確かなものとするため、今年度より田亮介先生が駒木野病院院長に就任して頂きました。誰もが納得の登用と考えます。

具体的な改修対象の病棟は、A5病棟とC2病棟(精神科急性期病棟と高齢者専門病棟)です。A5病棟は当院2つ目の児童精神科病棟とし運用していきます。児童精神科領域のニーズは入院・外来を問わず極めて高く、新規入院患者の5割弱が20歳未満で占められ、また現行のA4病棟は高い病棟稼働率を維持しており、経営面でのメリットも大きいといえます。C2病棟は病棟スペースの約半分を個室化することを計画しています。主眼は、高齢者専用病棟から脱却し、汎用性の高い準急性期的病棟として運用していくことにあります。併せて救急病棟の在棟長期群の受け入れ病棟とすることで、救急病棟の活性化を図っていきます。

先に記したように青溪会は人材に恵まれています。令和7年度の駒木野病院常勤医師数は33名、うち精神保健指定医20名が含まれます。すでに24時間365日指定医による入院対応が実現しており、今年度から東京都常時対応型施設として運用してまいります。有用な地域資源として活用していただければ幸いです。

私事ではありますが、私は原常勝先生から2009年4月に駒木野病院長を引き継ぎました。青溪会は多くの先達と仲間、そして利用者と地域に育まれ磨かれていく宝物のようです。この大切な宝物を田亮介新院長に引き継げたことに、少々の安堵と深い感謝の念を覚えます。16年間ありがとうございました。これからも宜しくお願いします。

2025年度入職式

2025 年4 月1 日、医療法人財団 青溪会の入職式が執り行われました。

食事会の様子


今年度新たに入職された職員は、医師4 名、看護師14
名、ケアワーカー1 名、精神保健福祉士3 名、事務職1 名の合計23 名です。

 


法人理事との食事会でも、和やかな雰囲気で交流を図る様子が見て取れました。

例年開催している新人歓迎ボーリング大会も、今年は100名を超える参加者で賑わい、よい親睦の場になりました。

青溪会の将来を担う、23 名の成長と活躍を期待します。

全国児童青年精神科医療施設協議会 開催

 


2025 年2 月7 日から8 日にかけて、全国児童青年精神科医療施設協議会(通称 全児協)第54 回研修会が八王子東京たま未来メッセで開催されました。大会長を務めた当院副院長の笠原麻里のもと、正規会員である42 施設を中心として全国から多くの参加者が集まりました。全児協は児童・青年の精神科医療に携わる医療施設で構成される団体で、入院治療を中心とした実践・研究の促進と医療従事者間の相互交流を目的としています。

大会長を務めた笠原副院長


研修会では一般演題32 題と症例検討2 題が発表され、当院からはA4 病棟関口看護師が「大切にするを育む」と題して発表を行いました。子どもの過量服薬や子ども参加型カンファレンスなど、時宜を得たトピックについて活発な議論が交わされました。また90 分枠での症例検討会を2 つ行うという新たな試みも、1 つの症例を深く掘り下げる貴重な機会となりました。

懇親会では医局の岡野医師、吉田医師、A4 病棟看護師の新名さんによる演奏が披露され、参加者から好評を博しました。

約2 年前から準備に携わったすこやかスタッフをはじめ、当日の運営に尽力した駒木野病院の職員の皆様に心より感謝申し上げます。

駒木野病院 児童精神科部長 岩垂 喜貴

編集後記

寒の戻りを幾度か超え、やっと春らしい陽気が戻ってきたなかで後記を書いております。四季の表現として色と結び付けたものがあり、「青春」は耳なじみがありますが、他の季節は…と気になって調べました。「朱夏」「白秋」「黒冬」というものがあり、中国由来の表現であるそうで、人生の移ろいを投影することもあるそうです。「青溪会」は青が入っているということは春になじみがあるのかな? 法人としての季節は今何なのだろうか? などなど色々と考える機会になりました。今年度もどうぞよろしくお願いいたします。

生活医療部 副部長 新井山 克徳