最新情報NEWS

季刊誌 駒木野 No.190

季刊誌 2020.11.01

新部門を発足して

理事長 菊本 弘次

美しい寒椿

美しい寒椿

 駒木野病院では、従来から4つのクラスター部門(サービスステーション駒木野SSK)、アルコール総合医療センター、こまぎのこどもセンターすこやか、高齢者医療センター)を運営してきました。クラスター部門は病棟の枠を超え、狭い意味での医療に縛られることなく、本人はもとより、ご家族、地域社会、そして駒木野病院他部門に働きかけ、利用者一人一人の回復支援を目的とするものです。令和2年10月1日、より機能的で活力ある活動を実現するためデイケア部門とクラスター部門を統合し、新たに「リカバリー総合応援部」という組織を誕生させました。英語で表記すればDivision of Total Support for Recoveryです。Supportは「支援」とも「応援」とも読めますが、あく
まで「リカバリーの主役は利用者」であることを強調したくて「応援」という言葉を選びました。そして回復過程を歩む利用者に、声をかけ、時に伴走し、時に見守り、時に癒しと休養場所を提供するというイメージでしょうか。加えて、「支援部の○○です」より「応援部の○○です」のほうが汗をかいてくれそうです。
 一方、種々の場面で「応援」を困難にしているのは、新型コロナ問題です。感染拡大防止と良質な医療および医療環境の提供は二者択一の課題ではありません。ただし、両者を同時に成立させるには相当な体力・気力が求められます。病院の感染防止対策は常に更新されています。幸いにも現時点で入院患者および青溪会職員にも新型コロナ感染者は確認されてはいません。偶然の幸福かもしれませんが、感染対策委員を中心とした職員全ての努力そして利用者のご協力あってのことと考えます。
 我々は利用者への応援を自負していますが、その利用者からも行政・地域社会からも常に大きな応援を頂いています。新型コロナの終息が何時なのかどのような形で訪れるのか不明ですが、持ちこたえるのが地域社会のセーフティーネットの一員である駒木野病院・青溪会の使命と考えます。

リカバリー総合応援部のご紹介

リカバリー総合応援部部長 山口多希代

 この10月1日から、駒木野病院に新たな部門が誕生しました。それが、リカバリー総合応援部です。リカバリー総合応援部は、クラスター4部門である、サービスステーション駒木野(SSK)、アルコール総合医療センター(ALMeC)、こまぎのこどもセンターすこやか、高齢者医療センター(10/1~SSKに統合)と、生活医療部に所属していたデイケアを統合した部門です。

 私たち新部門の名称は、プロジェクトメンバーの意見や理事、病院運営会議のメンバーからの意見等も勘案して、菊本院長が命名してくださいました。この名前に込められた思いや法人理念、部としての基本方針を大切に、この名にふさわしい活動ができるように努力していきたいと思います。また、駒木野病院がめざす子どもから高齢者までの入院治療と外来治療、退院支援や生活支援などをより充実させていくために機能する部門となれるよう院内関係部署・職員、そして地域関係者との連携を図りつつ邁進していく所存です。いろいろなチャレンジを含む活動でございますので、関係者の皆様には、ご指導御鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。

〖新部門立ち上げの経緯〗

 新部門の立ち上げは、今年度の当法人及び当病院の事業計画に依拠しています。今年度事業計画では、「各クラスター部門においてはデイケア部門を統合し、より機能的で活力あふれる活動ができるように、組織の見直しを行い、新たな運営体制を構築していきます。合わせて、デイケア利用者の増加を目的とした、魅力あるデイケアプログラムの再検討も行います。」ということがあげられています。

 これを具現化していくために、各部署から選ばれたメンバーで構成する「クラスター部門及びデイケア統合プロジェクト」が6月に立ち上げられ、各部署の現状や課題を共有しながら新部門立ち上げに必要な検討・準備をしてきました。

〖新部門の活動理念、基本方針〗

 プロジェクト会議では、法人理念をもとに、統合したらできる事、やりたい事、可能性などについて話し合う中から、「つながる」「つくる」「たのしむ」「まなぶ」という活動の4つの柱(図1)を導き出しました。現状の活動をこの柱にそって見直すこともできました。この活動の柱も踏まえ、新部門は、看護師、精神保健福祉士、認定心理士、作業療法士、事務職員など、多職種で一緒に活動していくところなので、同じ方向性をもって活動していくためにも指針となるものが必要ということになり、部としての理念や方針を話し合いました。理念は法人理念そのままに、基本方針を図1のように定めました。

活動の4つの柱と基本方針

法人理念「こころに寄り添い、生きる力を支援」

図1

 

◆基本方針
 リカバリー総合応援部は、それぞれの力を結集し、魅力にあふれ生産性の高い組織となります。人的配置や活動の柔軟性を持ち、法人内・院内・地域との連携等を考えながら、利用者ニーズを反映した多彩な活動を展開していきます。

  1. 私たちは、人とのつながりを大切にします。
  2. 私たちは、安心できる・体験できる・チャレンジできる場を提供します。
  3. 私たちは、利用者の自分らしさを大切にし、生きる力を支援します。
  4. 私たちは、専門性と多職種チームの力を生かします。

◆活動の4つの柱「つながる・つくる・たのしむ・まなぶ」

〖新部門の特徴〗

 リカバリー総合応援部は、図2に示した4つの部署で構成されています。各センターの責任者は、看護師、精神保健福祉士らが担っていきますが、今までクラスター部門のセンター長、副センター長だった先生方には、担当医としてこれまで同様にかかわっていただくことになっています。

 新部門は、入院・外来双方に関わってきたクラスター部門の専門性や独自性を継承していきます。SSKは、今までの機能を生かしながら、部の事務局的な機能も担っていきます。外来の大きなサポート部門であるデイケアセンターは、より活用してもらえることを考えながら周知の方法やプログラム内容の検討をしていきます。これらの活動を進めるにあたり、リカバリー総合応援部として、各部署の枠にとらわれないプログラム運営や、より有機的・効率的な活動を一体的にめざしていきたいと思っています。(各部署の詳しい活動は、各リーフレットや業績集をご覧ください)

 最後に、プロジェクト会議では、新しい部に所属するスタッフ、病院運営会議のメンバーと関係部署責任者を対象に9月14日(月)グリーンホールで全体説明会を開きました。新しい部を知ってもらうこと、一緒に活動していくスタートラインに立てることなどを目的とした会でしたが、各部署紹介で話された参加者へのメッセージを皆さんにもお伝えしたいと思います。こんなことやっていくのかな・・と少しでもイメージしていただければ幸いです。

【サービスステーション駒木野より】

  • 利用者・地域・他部署とのつながりのコーディネーター!!
  • 今後の支援や関わりのきっかけとなる場を提供し、共に居場所をつくる
  • SSKの強みである、つながりの活用を。利用者・家族・地域・他部署との連携
  • 各部署の持つ専門性・強みを活かした連携・つながりを行っていくことで、「こんなこともできたら」というさらなる発展が生まれる

【アルコール総合医療センターより】

  • 活動の4つの柱=「つながる、つくる、楽しむ、学ぶ」を私たちから実践していきましょう

【デイケアセンターより】

  • 主役は利用者。それを取り巻く多職種の関わりの多様性の期待
  • 時には影となり、時には手を取り、時には背中を押して応援していくスタッフであってほしい
  • 病棟との切れ目のない関わりの重要性
  • まずはここからがスタート。同じ方向に進んでいくためには時間を要して語り合いましょう!!

【こまぎのこどもセンターすこやか】

  • 子どもと、子どもに関わる全ての方を支えます。
  • 家族に寄り添い、共に学び、家族の力を応援します
  • 子どもから大人へと、未来のための支援を紡ぎます

※全体会は、各部署責任者や多くの職員に参加して頂きたかったのですが、コロナ禍の状況もあり、限定させていただきました。今後、各部会や病棟カンファレンス等の機会を通して、リカバリー総合応援部を知って活用していただけるような発信をしていきたいと考えています。

駒木野病院活動報告

 今年度は、新型コロナ感染症が世界中で蔓延する中でのスタートとなりました。駒木野病院では感染防止のため、新たな取り組みも始めました。また、毎年恒例の行事も中止せざるを得ないものもあり、それらに代わるものとして知恵を出し合い、取り組んできたことについて紹介させていただきます。

職員応援企画ガンバレ青溪会!

法人事務局 井出光吉

 職員納涼会が中止となり、恒例であった抽選会に代わりに「ガンバレ青溪会!」と銘打ち、役員の方々や病院より、多くの豪華景品を準備していただき大抽選会を実施しました。当選した職員からは喜びの声が多く聞かれました。残念ながら12月の忘年会も中止となりましたので、同様の楽しみな企画をしていきます。

コロナ禍における新たな取り組み~感染対策委員会の活動紹介~

CNIC 金成千鶴

 2019年2月以降、中国湖北省武漢市を中心に新型コロナウイルスである“SARS-CoV2”(COVID-19)が発生し、瞬く間に全世界に広がりました。日本国内でも2月よりCOVID-19が発生しはじめ、流行の恐れがあることを早急に察知し、臨時感染対策委員会を開催して物品の備蓄や外来でのトリアージ・体調のチェック、院内活動の制限、面会の制限など対策を講じました。現在のところ感染経路や治療方法、感染してからの経過など、明確にはされていない部分が多々ありますが、皆様のご協力のお陰で現在のところ当院での感染症の発症はありません。以下に、新たな取り組んでいる内容を紹介します。

  • 毎週月曜日臨時感染対策委員会
  • ホームページでの当院での感染対策のお知らせ掲示
  • 感染対策に必要な個人防護具の備蓄及び代用品の準備
  • 外来入口においての体温チェック及びトリアージ、受付での感染対応
  • 外来待合での3密にならないような動線確保
  • 各診察室のビニールでのシールド設置や有症状者が出た場合の待機場所の設置
  • 外来患者で来院できない場合の電話再診開始
  • 入院時検査の感染対応の徹底(入院患者様全て措置入院含め外来においての対応)
  • 入院患者の体調チェック
  • 院内での活動制限等の取り決め
  • 看護スタッフ(全職員)への個人防護具の着脱方法の研修など

編集後記

 夏の猛暑がやっと過ぎ心地よい気候…と思っていたら急激に気温は下がり体調を崩しやすい季節になりました。コロナ禍における体調管理については今までとはまた違った注意も必要であり気が抜けない日々が続いていますが「Stay Connected」つながりを保ちながらポジティブに。今後も感染症に萎えることなく、当法人での活動は時に形を変え日々工夫しながら進化しています。利用者により良いかかわりができるよう淡々と歩んで行きましょう。

SSK室長萩原道子

青溪会理念

[心のこもった、質の高い精神医療]

【皆様への五つの約束】

  1. 私たちは、地域の保健福祉ネットワークの中で、心の病を治療する役割を果たします。
  2. 私たちは、専門医療機関として医療サービス内容のたゆみない向上に努めます。
  3. 私たちは、安全、快適、さわやかな接遇を心がけ、安らぎと回復の場を提供します。
  4. 私たちは、ご利用者の思いを尊重し、共に力を合わせて障がいを克服します。
  5. 私たちは、患者の皆様が充実した社会生活を取り戻されることを支援します。